2012年5月1日火曜日

Good News Collection: 宗教教育


私は清泉女子大学で、週1回「宗教科教育法」という授業を担当している。受講者は14人くらいの小じんまりした授業である。
これは「宗教科」の教員免許を取得するための「教科教育法」のひとつである。
9月30日はその後期最初の授業であった。そこで「同心円エクササイズ」というのを行ってみた。これが意外に好評であったので報告したくなった。
2重の同心円状に椅子を並べ、内側と外側の人が向かいあうようにしてすわる。
司会者があるテーマをいうので、それについて3分間話をする。
最初は外側の人から話すようにする。二人で3分間である。
司会者はタイマーで3分間たったら合図をする。
外側の人がたちあがって一つ横にずれて、ペアを変える。
司会者は次の質問を言い、また3分間話をする。今度は内側の人が先に言う。
3分間話したら、今度は内側の人が一つずれて、また別の人とペアになる。

こういうことを繰り返していく。
この授業では場所が狭く、人数も少なかったので、椅子を向き合うように並べて、一つずつ右回りにずれるようにした。いちばん左はじの人は、向かい合う席に回り込むようにして向き合って座った。同心円よりはこちらの方が合理的だと思う。

質問は次のような内容であった。


ゲラの家族はどこから来たのか?
1.最近感動したこと
2.最近がっかりしたこと
3.「やったー!」と達成感を感じたこと
4.この夏休みで最も悔いを残したこと
5.最近むしょうに腹が立ったこと
6.この夏とても愉快だったこと
7.つらかったこと、苦しかったこと
8.ラッキーと思ったこと
9.不運な星のもとに生まれて来たと思ったこと
10.1週間で一番生き生きしている時
11.1週間で一番自分らしさを失っている時、しおれているとき
12.いま、夢中になっていること、熱中していること、ハマっていること

という質問だった。
自分の席に戻って、今度はこの感想を言ってもらった。


ブラジルの人口密度です
●笑顔が大切だと思った
●初めて話す人が多かったけれど、すぐに打ち解けて話せた
●みんなの夏休みに触れられてよかった
●私は人見知りなので、初めての人と話すのは苦手なのだが、でも楽しかった。
●同じ学年、同じ学科でも普段話すことのなかった人と話せてなんだか嬉しかった
●初めは何を話そうと不安だったが、意外に時間が早くて時間が足りなかった。

学生たちにきいた。
「このエクササイズはとても良くできていて、ほんとに盛り上がることが多いのだけれど、どうしてこうなるのか考えてほしい。
ここにはいくつかの仕掛けがあるんだけれど、それに気づかないかな?」
学生たちの答えである。


ジョン·ハンコックは何を密輸するのですか?
●自分に起きたこと、体験したjことを話している。
●誰にでもあること、直ぐに思いだせること、そして共感できることを話している
●あまり深く考えずに心の浮かんだことを素直に表現している。
●他の人が私の言うことをどう考えるかというようなことを気にする暇がない
●簡単に話せる。
●フィーリング、気持から入る問いかけである。考えや意見を言うというのではない。
●ネガティブなフィーリングとポジティブなフィーリングとを交互にきいている。
●隣の人の話に妨げられないように身を乗り出して聞いている。つまり積極的に聞こうとしている。

こういう話をすることを「シェアリング(わかちあい)」という。ここでしていることはそのシェアリング(わかちあい)である。
これを身につけておくと、心を開いて話すという時にとても役に立つ。学校で教員同士で、あるいは生徒や保護者と面談の時、この技法をもって向き合えばいい。
「わかちあい」には4つの原則がある。


第1原則 分かち合うべきことはフィーリングであり、気持である。考えとか意見とかではない。
第2原則 主語は常に私である。主語を「あなた」にすると説教になったり、批判になっり、攻撃になりやすい。 主語を第三者にするとそれは噂話である。
第3原則 相手の話はよく聴き、受け止める。相手の話を批判したり、説教をしたり、分析したり、解説を加えたりすることはわかちあいの妨げとなる。
第4原則 そこで分かち合われたことは、その場限りのこととして口外しないこと。

ただし、この原則を先に示して、「さあ、この原則に従って分かち合ってください」といっても、まず無理であろう。
まず自然に分かち合いを体験して、「これが分かち合いです」というのがいい。
私の経験で言うと、分かち合いのもっともよい問いかけは

「最近心を大きく動かしたことについて報告してください」

だと思う。
心を動かしたことのなかには、感動したことはもとより、うれしかったこと、つらかったこと、悲しかったこと、怒りを感じたことなどなどいろいろある。
この問いかけは分かち合いを引き出す良い問いかけである。


私たちはそれと意識していないで、分かち合いをしている時がある。
その一つは、盆や正月に故郷に帰省して、親や兄弟たちと話している時
もうひとつは、小学校の同窓会で幼馴染とひさしぶりに会う時
まだ、そのほかにもあると思う。

分かち合いが難しい時もある。
年中顔を突き合わせてている夫婦や家族の間
利害関係や上下関係があるとき

分かち合いのへたくそな人たちがいる。
司祭、警察官、そして教員である。
人を裁いたり、説教したり、点数をつけたりすることを仕事にしている人たちである。

「私の話を聞いてください」という詩を読んで終わるといい。

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