第1 特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する基本構想
<該当個所>
1 ページ 1背景
<意見内容>
「直接、間接を問わず、様々な人間活動、人為の影響によって生物多様性保全上の危機が引き起こされているが、その一つに外来生物の導入による生態系のかく乱がある」等生物多様性の危機に関する記述を書き込む。
<理由>
生物多様性条約に基づく国内法の一つとしての位置づけを示すために、生物多様性に関する記述を含める必要がある。
<該当個所>
2ページ 2 課題認識
<意見内容>
「そのような外来生物については、<予防原則に基づいて、そのリスクを事前に評価し、>我が国に不必要に導入されることがないようにし、?」とする。
<理由>
予防原則の重要性についての記述を加える。全体的に予防の観点が弱すぎる。予防がもっとも効果的であり、コストがかからないことを特記すべき。
第3 特定外来生物の取扱いに関する基本的な事項
<該当個所>
5ページ 1 飼養等の許可の考え方(2)飼養等の目的
<意見内容>
「<本法に関連して特に必然性のある>学術研究のほか、展示や教育、許可規制を行うことで遺棄や逸出等に対して十分な抑止力が働く生業などの場合に限り、飼養等の許可の対象とする・・」とする
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<理由>
(1)学術研究、展示や教育、生業等であれば飼育を認めるとしているが、この分野での飼育実体はピンからキリまで巾がありすぎる。個人でも学術研究を自称することが可能であり、展示目的であれば移動動物園も許可されるが、個人や零細業者の場合は、施設の管理に手が回らず、学術・教育機関等の場合は、集団無責任に陥りやすい。
飼養の許可は<本法に関連して特に必然性のある>ものに厳しく限定するべきである。
(2)本法での飼養許可は国が行うが、同様に国が所轄する種の保存法においては施設の審査が書類のみで行われるため(実際に現地に行って確認作業をすることは困難)、動物園(学術研究)の名の下に、希少動物の密輸が行われてきた。このような例外規定が一番抜け穴になりやすい部分であり、ここの規制がゆるいとザル法になる。また、愛玩飼養の全面禁止とのバランスを欠き、法の平等に反するばかりか本法の周知徹底や啓発普及効果を損なうことになる。その意味から、飼育許可は、本法の実効性に寄与する啓発普及や教育研究目的に限定するべきである。
(3)また、(3)の特定飼養等施設の施設基準におけるような飼育方法自体、狭い檻に動物を監禁した状態となりかねず、飼育自体が動物虐待になりかねない。特に飼養しなければならない必然的理由がない限り、例外なく飼育を禁止すべきである。
<該当個所>
6ページ 1 飼養等の許可の考え方 (6)その他
<意見内容>
「特定外来生物が指定された時点以前から、(中略)特定外来生物の<その個体の1代に限り、>飼養等の許可の対象とする。」とする。
<理由>
一代限りだということを、よりわかりやすく説明する。
<該当個所>
6ページ 2 個体の処分
<意見内容>
「特定外来生物をやむを得ず殺処分しなければならない場合には、<獣医師、保健所等の行政機関にも相談の上、>できる限り苦痛を与えない適切な方法で行うものとする。」とする
<理由>
飼育者が殺処分することは困難な場合が多いので、獣医師、保健所等の行政機関に相談の上、措置することを勧める。
<該当個所>
6ページ 3 輸入の禁止
<意見内容>
「許可を受けていない者により特定外来生物を我が国へ導入させることがないようにするため、関係府省で連携し輸入の禁止の徹底に努める<とともに、外来生物の輸入実体の把握につとめ、問題の発生時には迅速に対応できるような体制を取れるように努める。>」とする。
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<理由>
特定外来生物に加えて、外来生物一般についても、輸入実績を把握することが必要。
<該当箇所>
7ページ 5 放つこと、植えること又はまくことの禁止
<意見内容>
「特定外来生物を捕獲又は採取した直後に<その場所に>放つ等の行為」とする
<理由>
「捕獲採取した直後に、所持したまま他の場所に移動して放つ等の行為」の規定がない。そもそも捕獲・採取した直後に放つのであれば、捕獲・採取すべきではないのではないか。
第4 国等による特定外来生物の防除に関する基本的な事項
<該当個所>
7ページ
<意見内容>
「防除が必要な場合には、都道府県からの意見を聴いて地域の状況を踏まえつつ、かつ、関係者と連携を図りつつ、国が防除の<基本計画を策定の上>公示を行い、その上で科学的知見に基づき適切に防除を実施する。」とする。
<理由>
防除の目標設定にともなう実施状況のモニタリング、それに基づく目標の再設定といった順応的管理の手法を採用するべきである。特に根絶がほとんど不可能な種については、このような手法を取らなければ、いたずらに生命を殺傷し人手と労力の無駄使いになるばかりとなる可能性が高い。また種によっては、捕獲情報自体が外来対策研究に役立つことから、個体に関する情報、頭数、捕獲地点、捕獲状況等をきちんと記録に残し、統計化、データベース化しておくべきである。
<該当個所>
8ページ 1 防除の公示に関する事項 (2)防除を行う区域及び期間
イ 防除の方法
<意見内容>
「防除の目標に照らし、捕獲、採取、殺処分、防護柵の設置等の方法を明らかにするとともに、捕獲等した個体の取扱いの方法についても、<ガイドラインを設けて>明らかにする」とする。
<理由>
捕獲、採取、殺処分、防護柵の設置等は、生物の種の特性、習性、生態等によって異なり、一般論では対処できない。それぞれの種ごとにガイドラインを設けるべきである。
<該当個所>
8ページ 同上 ウ その他の主務省令で定める事項
<意見内容>
「鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律(略)の対象となる特定外来生物の防除を行う場合には、<人の財産への侵害、および>在来鳥獣等の錯誤捕獲・<混獲>を避けること」とする。
<理由>
捕獲箱に猫や犬など(人の財産)がかかる可能性が高いが、器物損壊罪、損害賠償請求等の対象となる。また、錯誤捕獲というよりも、おびき寄せの餌によっては様々な種の種が混獲される。
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<該当個所>
10ページ 2 防除の実施に関する事項 (3)防除の実施に当たっての留意事項
<意見内容>
「イ 防除に使用する捕獲猟具(銃器を除く。)には、猟具ごとに、<捕獲の目的、設置期間>、実施者の住所、氏名、電話番号等の連絡先を記載した標識の装着等を行うものとする。」とする。
<理由>
捕獲の目的、設置期間は必ず記すべき。この記載がなければ、狩猟と有害捕獲との区別がつかないし、違法行為として警察に通報される可能性もある。
「カ 防除の対象となる生物以外の野生鳥獣の繁殖に支障がある期間、区域は避けるよう配慮するものとする」ためには、鳥獣の繁殖期にまでわなを架設し続けることのないように、設置期間を明記しておく必要性がある。
「キ 狩猟期間中及びその前後における捕獲に当たっては、登録狩猟又は狩猟期間の延長と誤認されることのないよう適切に実施する」ためには、捕獲の目的を明記しておく必要がある。
<該当個所>
10ページ 同上
<意見内容>
「エ 捕獲個体をやむを得ず殺処分しなければならない場合には、<動物愛護法に基づく指針に従い、>できる限り苦痛を与えない適切な方法で行うものとする。」を加える。
<理由>
捕獲によって人の占有下にある動物は、動物愛護管理法の対象となることの周知徹底のため。
<該当個所>
10ページ 同上
<意見内容>
「ク 空気銃を使用した捕獲等は、対象を負傷させた状態で取り逃がす危険性があるため、中・小型鳥類に限って使用するものとする。」を、「空気銃を使用した捕獲は認めないものとする」に変える。
<理由>
鳥獣保護法が適用除外されている限り、銃器の使用は公衆の安全に重大な危機をおよぼすもので、容認できない。
<該当個所>
10ページ 同上
<意見内容>
「ケ わなを設置する際に防除の対象生物の嗜好する餌を用いて捕獲を行う場合は、他の鳥獣を誘引し、結果として鳥獣による被害の発生の遠因を生じさせることのないよう適切に行うこと。」の下に、新たに、以下の事項を加える。
「コ わなを設置した場合は、従事者が1日に見回ることのできる個数以上を設置しないこと。最低でも1日に1回は見回りを行い、目的外の鳥獣等が捕獲されていた場合は速やかにこれを放鳥獣等すること。
<理由>
一帯に大量の捕獲罠が設置された場合は、無差別捕獲・混獲は絶対に避けられない。設置者が1日ですべて見回りできる範囲に限定すべき。これは鳥獣保護法で規定されている理由と同じ。
<該当個所>
10?11ページ (4)防除の確認・認定 ア 防除を行う主体
<意見内容>
「?従事者に対し防除の内容を具体的に指示するとともに、従事者の台帳を<整備しなければならない>」とする。
<理由>
従事者の台帳がなければ、従事者以外の者が関与して事故が発生した場合に、責任を問うことができない。義務とすべき。
<該当個所>
11ページ (4)防除の確認・認定 イ 防除の実施要件
<意見内容>
「原則として、銃器による防除は行わないこと。」とする。
<理由>
鳥獣保護法が適用除外とされている限り、銃の使用については原則禁止すべきである。万一人身事故等が発生した場合、許可を下ろした国の責任が問われる。
第5 その他特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する重要事項
<該当個所>
11ページ?12ページ 1 未判定外来生物 (1)選定の前提
<意見内容>
エとして、以下の項目を加える「エ 我が国に導入され野外で定着している外来生物、および現在も輸入されているが特定外来生物に指定されていない生物についても、その野外での定着の状況、生態特性等の観点から注意を要する種については、要注意リストを設けて、モニタリングを行うものとする。」
<理由>
毎年、様々な野生動物が数百万匹もペットその他の目的で我が国に輸入されている。本州では定着しない種が南西諸島などで定着する例があることなどから、地域を対象として要注意対象地域、また生物種を対象とした要注意種リストを設け、現段階では判断のつかないグレーの部分についても常に監視していく体制を設ける必要がある。
<該当個所>
13ページ 5 その他 (3)経過措置の考え方
<意見内容>
「特定外来生物が指定された際、既に当該特定外来生物を飼養等している者について、当該飼養等を継続するための諸手続に関し、必要に応じ経過措置を設ける<とともに、相談窓口を設置する>ものとする。」
<理由>
当該動物の脱出防止をはかる構造の檻の設計で、かつ動物の福祉にも反しない飼育環境(環境エンリッチメント)等について、飼育管理マニュアルの配布やアドバイスを行う必要がある。このようなソフト面の対策がないと、施行前に大量の対象動物が遺棄されるおそれがある。
以上
野上ふさ子
地球生物会議(ALIVE)
113-0021 東京都文京区本駒込5-67-9-504
Tel.03-5815-7522 Fax.03-5815-7542
e-mail: aliv
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